「自己破産後の生活ってどう変わるの…?」
「自己破産後の生活・家族にはどこで影響が出るか知りたい…」
などなど、自己破産後の生活について気になる方もいますよね。
自己破産には借金を0円にできるほどの効力がありますから、生活に何か悪影響がでないか知りたいことでしょう。
確かに自己破産後にはさまざまな悪影響があります。ですが生活および家族に関して大きな影響はありません。
では自己破産後の生活は一体どうなるのか。具体的に見ていきましょう。
自己破産に関するよくある質問もまとめましたので、ぜひ最後までお読みください!
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自己破産後の生活はどうなるの?生活への影響5つを紹介
自己破産後の生活への影響は、主に以下の通りです。
自己破産後の生活への影響
①財産の処分
自己破産が実行されれば、まず原則として財産が処分されます。
自己破産は「換金された財産が債権者へ分けられ、そこで残った借金を免除してもらう手続き」です。持ち家や高額な預貯金、20万円以上の価値のある財産が処分対象です。
具体的には自動車(古い車は残りやすい)やブランドもののカバン、貴金属などが該当しますね。
とはいえ破産者側も生活しないといけないため、以下品目は「自由財産」として残せます。
自由財産の該当品目
- 財産価値が一定額以内の品目(20万円以内のケースが多い)
- 99万円以下の現金
②ブラックリストへの掲載
ブラックリストとは信用情報機関で記録された事故情報を指し、金融取引にかかわる個人情報が登録されています。
自己破産することで、このブラックリストに破産者の情報が約10年載ってしまうんです。掲載されれば、以下のデメリットがあります。
自己破産でのブラックリスト掲載によるデメリット
- ローンの新規借入ができなくなる
- クレジットカードの新規作成ができなくなる
- 利用中のクレジットカードが使えなくなる
- 賃貸保証の審査に通りにくくなる
- スマホ・携帯電話の分割払い購入ができなくなる
- ETCカードを使えなくなる
このように、支払いに関するさまざまなことで悪影響が及びます。
スマホを買うときは一括払いで買えるほどの端末を選んだり、ETCカードの支払いをするときは別のカードに切り替える必要がありますね。
なおETCカードについては「ETCパーソナルカード」の利用がおすすめ。保証金預託によって申し込んで、クレジットカードを使わなくても済むからです。
③官報への掲載
官報は日本の機関紙で、政府発行の新聞に近いものです。
もし自己破産をすれば、この官報に氏名・住所が載ってしまいます。
となれば「他の人に自己破産したことがバレるのでは…」と懸念するかもしれませんが、官報からバレるケースは少ないです。
官報は金融業界、不動産業界、あるいは公的機関に勤務している人は見る場面があっても、他業界の人が見る場面はかなり限られているんですよね。
④一部資格・職業への制限
自己破産の手続きをしている間は、以下業界・職業で制限を受けてしまいます。
自己破産で制限を受ける資格・職業
- 弁護士
- 弁理士
- 司法書士
- 公認会計士
- 税理士
- 土地家屋調査士
- 宅地建物取引士
- 保険外交員
- 貸金業
- 旅行業
- 卸売業
- 古物商
- 建築業
- 公証人
- 公正取引委員会
- 教育委員会
- 日本銀行役員
- 信用金庫役員
- など
なお手続きを進めていて免責許可が下りれば、上記資格・職業の制限は解除されますよ。
⑤借金が0円になる
序盤でも触れたとおり、自己破産には借金を0円にできる効力があります。
「破産手続開始決定(破産宣告)」と「免責許可」の2つを受けることで、借金を0円にできるんですよね。
破産手続開始決定 (破産宣告) | 免責許可 |
---|---|
|
|
自己破産後の生活はほぼいつも通り!理由3つを解説
実は自己破産をしても「いつも通り生活ができる」との声が多いんです。その理由は以下の通りです。
- 自己破産後でも多くの財産が手元に残るため
- 破産事実は他の人にほぼ知られないため
- 新たな財産所有は自由なため
理由①自己破産後でも多くの財産が手元に残るため
「自己破産をするとすべて差し押さえになるんじゃ…」なんてお思いの方がいるかもしれませんが、実は財産の多くは手元に残ります。
破産者が自由に扱える「自由財産」については、処分対象にならないんですよね。
生活に欠かせない財産、99万円以下の現金、仕事で必要な道具などは処分されない決まりになってます。
自由財産に該当するもの
怪盗品目 | 詳細 |
---|---|
99万円以下の現金 | – |
差押禁止財産 | 法的に差し押さえできない財産
(東京地方裁判所民事執行部の例) |
新得財産 | 破産手続きの開始決定後に取得した財産 |
自由財産拡張の認められた財産 |
20万円以下のものは破産者の手元に原則残せる 自動車、預貯金、生命保険の解約返戻金、電話加入権、敷金、退職金の1/8 (東京地方裁判所の場合) |
破産管財人が破産財団から放棄した財産 |
|
理由②破産事実は他の人にほぼ知られないため
破産した事実について、他の人に知られるケースは限りなく少ないです。その理由は以下の通りです。
- 官報以外で自己破産のことが公表されない
- 裁判所が会社へ自己破産事情を知らせない
こうした点から、自己破産をしたことが会社や家族に発覚する場面ってほぼないんですよね。
官報は金融・不動産業界、公的機関の勤務者くらいしか見ませんし、住民票をはじめとした公的書類への記載もないです。
ちなみに市町村役場には「破産者名簿」がありますが、一般の人はこの名簿を見られません。また免責になれば名簿掲載はなくなります。
あまり強くはおすすめできませんが、家族にはバレずに自己破産ってできるんです。
理由③新たな財産所有は自由なため
自己破産してから、新たに財産を所有するのは自由です。
免責で借金返済義務の免除を受けていれば、また新たに財産を換金して平返済にあてる必要もないですよ。
自己破産で家族への影響はある?
なかには「自己破産後には家族になにかあるんじゃ…」なんて心配される方もいますよね。
では果たして自己破産による家族への影響はあるのか。掘り下げていきましょう。
家族への影響はほぼない
結論をいうと、自己破産による家族への影響はほぼないんです。
家族だろうと他の人に返済義務は課されませんし、財産処分もないです。
それに自己破産の事実が学校や親族、会社などに流れませんから、結婚・就職・進学などでもほぼ影響がないといえます。
自己破産にかかる費用はどれくらい?
では自己破産をするとどれくらいのお金がかかるのか。具体的に見ていきましょう。
項目 | 費用 | ||
---|---|---|---|
総額 | 裁判所 | 弁護士 | |
同時廃止事件 | 32~64万円 | 2~4万円 | 30~60万円 |
少額管財 | 50万円~ | 20万円ほど | 30~80万円 |
通常管財 | 100万円~ | 50万円~ | 50~90万円 |
上記の通り取扱事件によって費用は異なり、弁護士に依頼することで60万円を超えるケースもあります。
自己破産だと30万円以上はかかる認識でいましょう…。
自己破産の流れ【全5STEP】
では自己破産を実際に進めるとどうなるのか。具体的な流れは以下の通りです。
自己破産の流れ
- 弁護士への相談・依頼
- 受任通知送付・取立や請求の停止
- 必要書類・申立準備
- 三者面談・破産手続開始
- 免責決定
STEP①弁護士への相談・依頼
自己破産をはじめとした債務整理については、まず弁護士・司法書士など専門家に相談しましょう(今回は弁護士の場合で解説)
相談のうえで費用を確認し、その他条件についても問題がなければ正式に依頼します。
自己破産で進めると決まれば、弁護士へ着手金(目安:約20万円)を支払います。一括払いが難しい場合でも、多くの事務所で分割払いに対応していますよ。
なお弁護士事務所と一口に言ってもさまざま。得意分野がそれぞれ異なります。
債務整理に明るく対応実績が豊富な事務所を選べば、よりスムーズに進んで成功確率が上がりますね。
STEP②受任通知送付・取立や請求の停止
正式に自己破産の依頼を出したら、弁護士は債権者へ受任通知を送付します。
弁護士が事件依頼を受けて手続きを進めると示したお知らせのこと。
この受任通知には法的効力があり、債権者が通知を受け取ったら取立・請求が来なくなります。
一時的とはいえ取立が来なくなれば、精神的にも負担が軽くなりますね。
STEP③必要書類・申立準備
自己破産の場合は、手続きにあたって裁判所への申し立てが必要。ここではその申立での必要書類を準備します。
依頼人側は弁護士と打ち合わせをし、弁護士の指示に従って資料を用意します。
このとき依頼人側への難しい手続きはないです。専門知識を要する難しい部分は、すべて弁護士側が担当してくれますよ。
書類準備後、所在地管轄の裁判所あるいは裁判所支部に提出。これで自己破産の申し立てができます。
STEP④三者面談・破産手続開始
3者面談(依頼者本人・弁護士・裁判官)をし、自己破産までの経緯、資産や借入状況を説明します。
内容に問題がなければ破産手続の開始決定。事件の種類(同時廃止、少額管財、管財事件)が決定されます。
なお上記のうち「同時廃止」に該当する場合、開始決定と同じタイミングで免責手続きに進みます。
それ以外の「管財事件」「少額管財」の場合は、裁判所が破産管財人を選んで財産処分などが始まります。
(管財事件・少額管財の場合)財産処分・債権者集会
STEP④で決まった事件種類のうち、管財事件・少額管財の場合は「財産処分」「債権者集会」が執りおこなわれます。一部の財産は売却され、債権者へ配当されます。
自己破産申立人が一定価値のある財産を所有しているときは「管財事件」「少額管財事件」の扱いとなります。さらに管財事件に該当すれば、他に諸手続きが入ります。
破産管財人が財産処分をして財産を現金化。それを債権者へと分けられます。そこから破産者の財産調査のため、破産者・破産管財人・弁護士の3者で「管財人面接」をします。
なお債権者集会は自己破産手続の開始決定から3ヶ月ほどが経つと開催。破産管財人から出席者(債権者)へ、事件詳細・配当見込みの共有報告を受けます。
STEP⑤免責決定
免責許可の前に裁判所へ弁護士と出頭して面接をします。このときに不明点や誤りなどがあれば対応してくれます。
面接が終わって2週間が経って裁判所から免責許可決定をもらえたら、ここで自己破産手続きは終了。
そして裁判所から免責許可の決定を受ければ、借金の返済義務が免除されます。借金の免除を受けられます。
書類不備など一部理由で免責不許可に終わるケースもありますが、約95%の確率で免責許可になりますよ。
自己破産後の生活に関するよくある質問
ここでは自己破産後の生活に関するよくある質問をまとめます。
自己破産後は選挙権を剥奪されますか?
自己破産をしても、選挙権が奪われることはないですので安心してください。
それに被選挙権にも影響しないため立候補もできますよ。
自己破産後に生活保護受給はできますか?
自己破産後での、生活保護受給は可能です。受給条件への抵触がないため、問題なく活用できます。
ただし生活保護費から借金返済をしているとバレれば、不正受給と見なされかねません。
生活保護は最低限の生活保障・自立助長を目的とした制度。発覚すれば、給付金返還・徴収金支払いの要求を受けることでしょう。
自己破産後の貯金は差し押さえられますか?
自己破産をしてから貯金はできます。手続きを終えても差し押さえには遭いませんので安心してください。
ですが自己破産後に20万円以上の預金・貯金の一部は処分対象になるため、その点には注意しましょう。
20万円未満の預貯金は、生活再建での必要分として所有が許されていますよ。
自己破産後でも結婚はできますか?
自己破産をしても、その後から結婚できます。自己破産から結婚への直接的な影響はないです。
ただし住宅ローン・マイカーローンを組めなくなるなど、結婚生活において支障が出る場面は出てきてしまいますね。
自己破産後に起業はできますか?
自己破産後に起業も可能です。「自己破産をしたら起業できない」なんてことはないです。
ですが起業しにくくはなってしまいます。自己破産後は融資を受けにくくなりますから、資金調達で引っかかってしまうことでしょう。
なお融資を通じ、廃業歴のある人に向けた再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)という融資制度があります。
この制度は創業に再チャレンジする人をサポートするべくできたものですから、自己破産後にも融資を受けられる可能性があります。
まとめ~自己破産後の生活を押さえておこう~
今回は自己破産後の生活について、詳しく解説してきました。改めて内容をまとめると、以下の通りです。
自己破産後の生活への影響
- 財産の処分
- ブラックリストへの掲載
- 官報への掲載
- 一部資格・職業への制限
- 借金が0円になる
自己破産後の生活はほぼいつも通りになるケースが多いとはいえ、こうした影響が大ダメージとなる 方もいることでしょう。
自己破産の選択をするべきかどうかは弁護士をはじめとした専門家とも相談し、適切な選択をしてくださいね。