国民年金の未払いで強制徴収?未払いから差押えまでの流れを解説!

国民年金の未払いで強制徴収?未払いから差押えまでの流れを解説!
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国民年金の納付率が低いことから、近年は年金の未払い状態がある人に対して強制徴収を行うケースが増えてきました。

  • 年金の滞納や未納がどのくらい続くと強制徴収が行われるのか
  • どうしても年金を納付するのが難しい場合にとるべき方法はあるのか

などについて解説していきます。

年金の未納は決して他人ごとではありません。

年金の滞納や未納による強制徴収や差し押さえ回を避する方法を知っておきましょう。

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国民年金は未納率が高い

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年金のうち、国民年金は特に未納率が高いです。

さまざまな要因がありますが、景気の後退によって非正規雇用者が増加したことが大きな原因だといわれています。

非正規雇用者の増加

非正規雇用者は、1990年代中頃から現在に至るまで緩やかな曲線を描きながら増加し続けています。

  • 賃金の節約のため
  • 景気の変動に応じて雇用者の数を調整できる

という企業側の理由によって、今や雇用者に占める非正規雇用者の割合は4割近くにものぼっているというから驚きです。

労働者が厚生年金に加入するには一定の雇用条件を満たす必要がありますが、その条件を満たさない場合には、自分で国民年金に加入しなければなりません。

非正規雇用者はその一定の雇用条件を満たさず、また、賃金の水準も低いために国民年金を払うだけのゆとりがないというケースが多く、これが国民年金の未納率の高さにつながっているという指摘があります。

国民年金の全額免除者が増加している

厚生年金の加入者は、保険料を給料から天引きされていますから未納率は非常に低いです。

一方で、国民年金保険料の納付率は65%程度だといいます。

しかし、国民年金の被保険者1,600万人近くのうち600万人近くは、国民年金に関して何らかの免除や猶予の申請を行っているともいわれているんですね。

結局、国民年金保険料の全額免除者や納付猶予者を含めた実質的な納付率は40%程度だとされています。

国民年金の滞納から差し押さえ・強制徴収までの流れ

国民年金の納付率を高めようと、最近は強制徴収が強化されているといいますが、強制徴収はどのような状態になると行われるのでしょうか?

国民年金の滞納から強制徴収までの流れについて見ていきましょう。

国民年金保険料を滞納する

国民年金を滞納しても初めのうちは何も起こりません。

ですから、国民年金を支払い忘れていたとしても気がつかないことも多いです。

国民年金保険料の納付期限は翌月の末までです。

つまり、1月分の国民年金なら、2月の末までには支払わなければなりませんが、翌月末までの期限を過ぎるまではどこからも連絡が入りません。

もし、この時点で国民年金を支払っていないことに気がついたなら、できるだけ早く納付してしまいましょう。

ちなみに、国民年金保険料の納付期限を過ぎていても納付書はそのまま利用できます。

納付書の使用期限は納付期限の24ヶ月後になっていますので、基本的にはコンビニエンスストアでも支払いは可能です。

未納のお知らせや電話などによる連絡がある

国民年金保険料を年金納付月の翌月末までに納めないと、「納付督励」の対象になります。

要するに、国民年金が納付されていませんから早いうちに納めてくださいね、と自主的な納付をすすめるお知らせがくるようになるのです。

国民年金の納付督励は、日本国民年金機構とは直接関係ない企業名でお知らせが来るのでそのまま放置してしまいがちですが、国民年金保険料のお知らせは日本年金機構から民間事業者に委託されていますので、見過ごさないように注意しましょう。

納付督励は、

  • 自宅への電話
  • 封書やハガキなど
  • 自宅への戸別訪問

など、さまざまな方法で行われます。

特別催告状が届く

納付督励を何度か行っても、それに対して何も反応しないまま年金の未払い期間が半年を超えると、今度は年金事務所から特別催告状が届きます。

特別催告状には、
「これまで年金に関するお知らせをさせて頂きましたが、まだ年金保険料が納付されていません。

記載された期日までに支払ってください」
などと書かれています。

この段階なら、まだすぐに何らかのペナルティが課せられるというところまでは来ていません。

しかし、何度特別催告状を送っても何も反応がないと、特別催告状の封筒の色が変化していきます。

初期のうちに届く特別催告状は青色ですが、青色の特別催告状が届いても年金保険料を納めないまま放置しておくと、やがて黄色の封筒で特別催告状が届くようになり、最後には赤色の封筒へと変化していきます。

そう、信号と同じなのです。

青色の封筒が届いているうちは日本年金機構も、
「何かの事情で納付が遅れているのかもしれない」
と、様子見をしている状態だといえますが、赤色の特別催告状が届くころには、先方もあなたのことを悪質な滞納者だと判断し始めていると考えてください。

また、催告状の文面も次第に警告の度合いを強めていきます。

それでも、この段階なら滞納している国民年金保険料を納付すれば問題はありませんし、一括納付が難しければ分割納付にも応じてもらえます。

最終催告状が届く

特別催告状を無視していると、次は最終催告状が届きます。

最終催告状は特別催告状と内容はそれほど変わりませんし、この段階ならまだ分割納付など、年金に関する免除や猶予等のさまざまな相談にも応じてもらえます。

しかし、ここまでが分割納付などに応じてもらえる最後の段階だと思っておきましょう。

いよいよ強制徴収の対象となる悪質な滞納者としてピックアップされる寸前まできていることに気づかなければなりません。

督促状が届く

督促状が届くようになったら、年金事務所から「悪質な滞納者」であると判断されていると考えてください。

督促状が届いてしまうと、もう分割納付には応じてもらえません。

未納分の国民年金は、全て一括で支払わなければならなくなる可能性が高いです。

督促状で指定された期限までに年金保険料を払わないと、滞納している年金に延滞金が課せられますが、その延滞金も一緒に納付するよう求められます。

それでも指定された期限までに年金納付がなければ、いよいよ差し押さえの準備に入ります。

差押予告通知書が届く

滞納している年金を納付しないまま督促状で指定された期限を過ぎてしまうと、ある日突然、差押予告通知書が届きます。

差押予告通知書には、
「滞納している保険料を徴収するために財産の滞納処分(差し押さえ)を行うことになったので予告します」
とだけ書かれているケースが多いです。

つまり、強制徴収ですね。

いつ差し押さえに来るか、また何を差し押さえるのかについては一切書かれていません。

強制徴収について本人に予告してしまったら、年金の滞納者が財産を隠してしまう恐れがあるからです

差し押さえによって強制徴収が行われる

もうこの時点では、すでに本人や家族の財産についての調査が行われていて、どの財産を差し押さえれば効率よく滞納している年金を徴収できるかの確認も済んでいるはずです。

あとは、滞納処分をどのタイミングで行うか見計らっている状況だといえます。

そして、突然差し押さえの日はやってくるのです。

差し押さえられる財産は、給料の場合もあれば銀行口座の場合もありますし、差し押さえる給料や銀行口座預金がなければ、自動車や貴金属、生命保険の解約金などが差し押さえられます。

さらに本人の財産だけで足りなければ、世帯主や配偶者など連帯納付義務者の財産が差し押さえられるというケースもあります。

国民年金の未納・滞納でどんなデメリットがある?

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国民年金の未納や滞納があると、強制徴収によって財産を差し押さえられてしまうことがありますが、それ以外にはどのようなデメリットがあるのでしょうか?

将来の年金受給額が減ってしまう

国民年金を40年間支払った場合の支給額は、満額で年間およそ78万円、月額換算すると6万5,000円ほどです。

40年きっちり国民年金保険料を支払ってもその程度しかもらえないんですね。

それなのに、年金の未納期間があると、その期間は受給資格期間にも含まれませんし、年金額にも反映されません。

つまり受給額が減ってしまうのです。

国民年金の受給額は、未納期間が1ヶ月分あるごとに年間約1,600円減少します。

40年間のうち、トータルで1年間国民年金の未納期間があれば、年間でマイナス19,200円、トータルで10年間国民年金の未納期間があると年間で20万円もマイナスされてしまうのですね。

そしてなんと、年金を支払った月数が120ヶ月よりも少ない場合は、年金は1円ももらえなくなってしまうのです。

たとえ短い期間とはいえ、年金を納めたにもかかわらず、です。

障害年金を受給できなくなる

国民年金を未納のままにしておくと、障害年金を受け取れなくなってしまいます
病気やケガをして障害者認定を受けると、年金を受給できる65歳よりも早い段階から障害基礎年金を受給できます。

ところが、国民年金を未納のままにしておくと障害年金の受給資格を失ってしまいます。

この先仕事ができないような大病やケガをしたのに、頼みの綱の障害年金の受給資格がないとなると、生計を維持するのも困難でしょう。

遺族年金を受給できなくなる

国民年金の未納があると、遺族年金の受け取りもできません。

遺族年金とは、一家の生計を支えていた被保険者が死亡した場合に、残された遺族が受け取れる公的年金です。

元々は遺された子供の支援のための制度なので、配偶者だけが残された場合には遺族年金は受け取れませんが、18歳未満の子供がいる場合なら月に10万円以上の年金を受給できます。

ところが、国民年金の未納期間があって加入期間の要件を満たさない場合には、遺族年金の受給資格がなくなってしまうのですね。

一家の働き手を失った家庭で遺族年金を受け取れないとなると、その損失は計り知れないほど大きいでしょう。

国民年金の未納が原因で障害年金や遺族年金の受給ができないと、家族がその負担を負わなくてはならないのです。

そのようなことにならないためにも、国民年金の未納がある場合は放置しないことです。

2018年度から強制徴収者の対象が拡大されている!

つい数年前までは、13ヶ月以上の滞納がなければ強制徴収の対象にはならなかった国民年金ですが、2018年度からは年間所得が300万円以上あって7ヶ月以上の国民年金を滞納していれば強制徴収の対象になります。

年度所得・未納月数などの条件
2013年度所得:400万円以上
未納月数:13ヶ月以上
2014年度所得:400万円以上
未納月数:13ヶ月以上
2015年度所得:400万円以上
未納月数:7ヶ月以上
2016年度所得:350万円以上
未納月数:7ヶ月以上
2017年度所得:300万円以上350万円未満
未納月数:13か月以上
所得:350万円以上
未納月数:7ヶ月以上
2018年度所得:300万円以上
未納月数:7ヶ月以上

年々、強制徴収対象者の範囲が広がっていることに気づきます。

厚生労働省では、強制徴収の要件を厳しくするだけではなく、「国民年金保険料強制徴収集中取組期間」を設けて国民年金の徴収の強化を図っています。

所得が300万円というと月々に換算して25万円程度なので、決してゆとりがあるとはいえない層です。

年間所得が300万円程度だから、まさか強制徴収されるようなことはないだろうと高をくくっていてはいけないということですね。

年金の支払いが難しい場合は強制徴収される前に免除などの手続きを

経済的にゆとりがないから年金が払えないのに、障害年金や遺族年金が受け取れなくなる、強制徴収が行われるなんて、国のやり方もひどすぎるのではないかと思う人もいるでしょう。

でも実は、経済的な事情で国民年金の納付が難しい人に対しては、さまざまな救済措置が用意されているんですよ。

国民年金の免除・猶予制度を利用できるなら活用しよう!

収入の減少や失業などで国民年金保険料の納付が難しい場合は、ぜひ「国民年金保険料免除・納付猶予制度」の手続きを行いましょう。

年金の免除・猶予制度を利用すると年金が支給される!

免除納付猶予の手続きを行わず、国民年金保険料を未納のままにしていたら、当然ながらその期間は受給資格期間にカウントされませんが、もし保険料の免除や納付猶予が認められれば、その時間は年金の受給資格期間としてカウントされます。

しかも、例えば国民年金の「全額免除」が認められた場合でも、2分の1ヶ月分を受給額に反映してもらえるというのですから、要件に該当するのなら免除・猶予申請しない理由はありませんね。

国民年金保険料免除・猶予の要件

全額免除(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
4分の3免除78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
半額免除118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
4分の1免除158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
納付猶予(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円

 

2009年4月~~2009年3月
全額免除2分の13分の1
4分の3免除8分の52分の1
半額免除8分の63分の2
4分の1免除8分の76分の5

※納付猶予の期間は老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金を受給するために必要な受給資格期間にカウントされますが、老齢基礎年金の受給金額は増えません。

免除・猶予制度を利用できない場合は分割払いの相談をする

強制徴収までの流れの章でも説明しましたが、督促状が届く手前の最終催告状の段階までなら、滞納した国民年金の分割納付の相談には応じてもらえます。

免除や猶予制度を利用できない場合でも、分割払いでなら何とか支払えるかもしれませんから、一刻も早く役所の窓口で相談すべきでしょう。

国民年金の納付が難しいからといって長期間放置したままでいると、やがては分割での支払いも厳しくなってしまいます。

そうならないためにも、今月は年金を支払えないかもしれないと思った時点ですぐに役所に分割払いの相談をすることをおすすめします。