「自己破産の流れを知りたい?」
「自己破産にはどれくらい時間がかかるの?」
自己破産をするには、まず何から始めれば良いのか知る必要がありますね。
自己破産には大きく分けて以下の2つの手続き方法があり、どちらの手続きを行うかによって流れも異なります。
自己破産の手続き方法
- 同時廃止事件
- 管財事件(少額管財事件)
そこで今回は、手続き別の自己破産の流れや必要な期間を詳しく紹介します。
記事の後半では、自己破産に必要な書類や自己破産に関するよくある質問もまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
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自己破産の流れ
自己破産に共通する主な流れは以下の通りです。
自己破産の流れ
- 弁護士に依頼をする
- 受任通知を送付し取立てを停止させる
- 書類を準備する
- 裁判所に自己破産の申し立てをする
- 裁判官と面接をする
- 破産手続きが開始
- 免責の決定・確定
上記の流れで自己破産が完了です。
しかし細かい流れは手続き方法によって異なるので、以下の2つに分けて詳しく解説します。
自己破産の手続き方法
- 同時廃止事件
- 管財事件(少額管財事件)
ちなみに手続き方法別に必要な期間の目安は以下の通りです。
自己破産の種類 | 必要な期間の目安 |
---|---|
同時廃止事件 | 4か月程度 |
管財事件 | 半年から1年程度 |
少額管財事件 | 4か月から半年程度 |
同時廃止事件
同時廃止事件とは、車や家など20万円を超える財産を持っていない方の自己破産手続きです。
経済的な余裕がない方は基本的に同時廃止事件で自己破産を行います。
同時廃止事件の流れは以下の通りです。
同時廃止事件の流れ
- 弁護士に依頼する
- 賃金業者に受任通知を送付する
- 必要書類を準備する
- 裁判所に申し立てを行う
- 裁判所による破産手続き開始決定が出される
- 免責許可決定が出される
上記の流れで同時は縊死事件の流れは完了です。
同時廃止事件では財産処分の時間がかからないため、手続きも短期間で終わらせられます。
そのため4ヶ月程度で手続きが完了しますよ。
管財事件
管財事件とは、返済に充てられる財産を多く持っている方にとられる方法です。
借金の返済は難しいけど返済に充てる財産は持っている、という方に適用されます。
そのため、大企業の経営者などが対象となります。
ちなみに管財事件はさらに少額管財事件に分けられますが、流れは同じです。
少額管財事件は、管財事件よりも財産が少ない場合に適用される方法です。
管財事件の流れは以下の通りです。
管財事件の流れ
- 弁護士に依頼する
- 賃金業者に受任通知を送付する
- 必要書類を準備する
- 裁判所に申し立てを行う
- 裁判所による破産手続き開始決定が出される
- 破産管財人の選任を行う
- 財産調査がされる
- 債権者集会が開かれる
- 配当手続きが行われる
- 免責許可決定が出される
弁護士に依頼することから裁判所による破産手続き開始決定までの流れは、同時廃止事件と同じです
しかしその後から免責許可決定が出るまで、財産がある分大きく異なるので気をつけましょう。
管財事件は、同時廃止事件に比べて時間が必要であり半年から1年程度かかります。
では、管財事件の流れについて細かく紹介します。
同時廃止事件も途中までの流れと免責許可決定は同じなので、チェックしてみてください。
①弁護士に依頼する
自己破産を行う場合は、まず弁護士に依頼しましょう。
自己破産は自分でもできますが、自分での手続きだと用意する書類が非常に多く大変です。
また、専門知識も必要になるなど困難なので、弁護士に依頼することがおすすめですよ。
弁護士以外にも司法書士に依頼できますが、司法書士だと対応業務範囲が限られています。
全て任せたい方は弁護士を選ぶと良いでしょう。
しかし弁護士だったらどこでも良いわけではありません。
自己破産取扱実績や口コミ等を参考に、自己破産に強い弁護士を見つけましょう。
面談では、費用や悩みを全て相談して明確にしておくことが大切です。
弁護士と司法書士の違いについては後ほど詳しく解説します。
②賃金業者に受任通知を送付する
弁護士に依頼すると、受任通知を賃金業者に送付します。
受任通知を受け取った債権者は、その後の借金の督促が禁止されているため、一度取り立てや請求が停止します。
そのため、受任通知を送った段階で取り立ての不安からは解放されますよ。
取り立てに困っている方は、すぐに弁護士に相談することがおすすめです。
ちなみに受任通知とは、弁護士が債務者の代理人として債務整理を行う旨を、債権者に伝えるための通知です。
③必要書類を準備する
自己破産を裁判所に申し立てるにあたって、事前に必要書類の準備が必要です。
必要書類は非常に多く複雑なため、弁護士に依頼することでスムーズに進められます。
多くの専門知識が必要になるので、自分ではなく慣れている専門家に頼むようにしましょう。
弁護士に依頼した場合は、弁護士の指示に従い書類をそろえるだけなので、面倒なことはありません。
弁護士は依頼者から書類を受け取った後、申し立てに必要な書類を基本的に全て作成します。
自己破産の申し立てに必要な書類については、後ほど詳しく紹介します。
④裁判所に申し立てを行う
必要書類が揃ったら、裁判所に申し立てを行います。
裁判所によって申し立て書類のチェックが行われ、不備や不足書類があれば再提出や内容の確認が必要になります。
申立書を提出すると、裁判官と弁護士、申立人の3人で面談が行われ、債務の理由や債務総額、資産状況や自己破産までの経緯を聞かれます。
質疑応答では虚偽の申告をせず、必ず正確な情報を伝えるようにしましょう。
虚偽の申告をした場合、免責不許可事由に該当するので注意が必要です。
ちなみに、面談では申立人が参加しなくて良いケースもあります。
⑤裁判所による破産手続き開始決定が出される
面談が終わり、問題がなければ破産手続きの開始決定が出されます。
同時に、「同時廃止事件」「管財事件」「少額管財事件」のうちどの手続きになるかが決まります。
ここまでの手続きは全ての事件において同じ流れになります。
同時廃止事件の場合は、破産手続き開始決定が出されると同時に免責手続きに進みます。
そのため、手続きが迅速に終わりますが、管財事件や少額管財事件の場合は、破産管財人の選定に進むので、手続き完了までもう少し時間がかかります。
また破産手続きの開始が決定されると、職業や資格、住居に制限がかかるため、気をつけましょう。
⑥破産管財人の選任を行う
管財事件や少額管財事件になった場合は、裁判所はまず破産管財人の候補者を選びます。
破産手続き開始決定のタイミングで、候補者の中から正式な破産管財人が選任されるという流れです。
破産管財人とは裁判所が選任する弁護士のことであり幅広い知識や経験を要するため、経験年数などの条件を満たす必要があります。
破産管財人の役割は、債務者の財産を管理し債権者に分配することです。
管財事件や少額管財事件では、破産管財人の人件費も必要になるので、同時廃止事件に比べて費用も高くなると覚えておきましょう。
また、破産管財人と依頼した弁護士、申立人の3人での面談もあるので、質問には正確に答えられるように準備が必要です。
⑦財産調査がされる
破産管財人が決まり面談も終わると、債務者の財産調査に移ります。
財産調査では破産者の借金額の正確な計算や破産者の資産調査が行われるので、虚偽の申告はしないようにしましょう。
また、財産調査において破産管財人は財産の換価処分や配当処分を行います。
換価した資産を債権者に配当分配することで、債権者への穴埋めができるんですね。
ちなみに手続き中の郵送物は、基本的に破産管財人が管理するので把握が必要です。
⑧債権者集会が開かれる
破産者の財産調査が終わると、債権者集会が開かれます。
債権者集会では、破産管財人からの調査報告や破産手続きの進捗状況報告、財産換価に関する話し合いなどが行われます。
債権者集会は通常5分から10分ほどで終わり、質問に対しても弁護士が答えてくれるので、身構えすぎずに出席しましょう。
また依頼先が司法書士の場合、司法書士は債権者集会での代理権がないため出席できません。
債権者集会で代理が欲しいのであれば、弁護士に依頼することが必要ですよ。
ちなみに債権者集会に出席する方は主に以下の通りです。
債権者集会に出席する方
- 債権者
- 破産者
- 破産者が依頼した弁護士
- 裁判官
- 破産管財人
基本的には上記の方が出席しますが、債権者においては出席しない場合もあります。
⑨配当手続きが行われる
債権者集会が終わり債権者への配当が決定すると、配当手続きが行われます。
しかし、調査の結果配当する財産がないと分かれば「異時廃止」となり破産手続きは終了します。
異時廃止とは、自己破産手続き開始決定とは異なるタイミングで手続きを終了する方法です。
一度管財事件として手続きを進めた後、異時廃止となるケースは主に以下の通りです。
異時廃止となるケース
- 破産財団で破産手続きの費用負担ができない場合
- 破産手続き開始決定後に財団の不足が分かった場合
- 破産手続き費用の追加予納がない場合
上記の場合は、異時廃止となるので覚えておきましょう。
⑩免責許可決定が出される
破産手続きが終了すると、最後に免責許可が決定されます。
免責許可決定が出るには、債権者集会による合意や免責審尋が必要です。
免責審尋では裁判官からの質問に答えることで、免責許可を出すか裁判所に判断されます。
免責審尋から約2週間後に免責許可決定が出されると、非免責債権を除いた借金が全額免責されます。
上記を持って自己破産の手続きは終了です。
ちなみに、財産において生活に必要最低限の財産は残されるので安心しましょう。
また、手続き最中に財産の隠蔽や虚偽の申告、書類の不備などがあれば、免責不許可になることもあるので注意が必要です。
自己破産の手続きに必要な書類
これまで、自己破産の手続きについて詳しく解説しました。
自己破産の手続きには必要な書類が多いので、事前に何が必要なのか確認しておくと良いでしょう。
自己破産手続きに必要になる書類は主に以下の通りです。
自己破産手続きに必要な書類
- 自己破産申立書
- 陳述書
- 収入に関する書類(給与明細・賞与明細・源泉徴収票・退職金の資料等)
- 居住地や住居に関する書類(賃貸借契約書・住民票・戸籍謄本等)
- 財産に関する書類(保険や車・不動産に関する資料等)
- 家計の状況に関する書類(預金通帳のコピー等)
上記の書類は必要最低限の書類となるので、場合によって他にもあらゆる書類を準備する必要があります。
また同居人に関する書類が必要となることもあるので、覚えておきましょう。
弁護士に依頼した場合は、基本的に弁護士の指示に従い書類を集めれば問題ありません。
途中で必要書類が追加された場合も、柔軟に対応できるようにしましょう。
自己破産で必要になる書類は非常に多く大変ですが、弁護士に依頼することでスムーズに進められますよ。
自己破産の手続きを早く終わらせるにはどうすれば良い?
自己破産の手続きの流れをみて、期間が長すぎると感じた方もいるのではないでしょうか。
同時廃止事件であれば4ヶ月程度、管財事件であれば半年から1年程度、少額管財事件であれば、4ヶ月から半年程度かかります。
そこで、少しでもスムーズに自己破産手続きを進める方法について、以下の2つを紹介します。
自己破産手続きをスムーズに進める方法
- 不備がない提出書類を早く準備する
- 東京地方裁判所本庁を利用する
不備がない提出書類を早く準備する
自己破産の手続きに必要な書類は非常に多く、集めるのに2ヶ月程度かかるといわれています。
必要書類の準備は意外と時間が必要になりますが、自分で期間短縮できる場面でもあります。
自己破産を検討しているのであれば事前に必要な書類を把握し、できるだけ早く集めることが大切です。
必要書類の準備に時間がかかるとそもそも申立に移れないので、自己破産の手続き完了までに時間がかかります。
いち早く自己破産の申し立てを行うには、書類準備が重要ですね。
ちなみに弁護士に依頼すると、必要書類の一覧を作成してもらえるのでスムーズに準備を進められますよ。
また、申し立ての後に追加書類の提出を求められる場合もあるので対応できるようにしておきましょう。
必要書類は早くかつ正確に準備することが必要です。
書類に不備があると取り直しになるなど、手続きが滞ってしまいます。
少しでも自己破産手続きを早く進めたいのであれば、書類に不備がないか細部まで確認を怠らないようにしましょう。
東京地方裁判所本庁を利用する
東京地方裁判所本庁では、弁護士に依頼していれば即日面接が可能です。
即日面接とは、自己破産の申し立て当日または翌日から3日のうちに裁判官と面接をする手続きの流れをいいます。
即日面接をすることで、手続きを短期間で終わらせられます。
東京地方裁判所本庁以外は即日面接ではないため、通常の手続き時間がかかるので気をつけましょう。
ちなみに横浜地方裁判所本庁では、申し立てから10日以内に弁護士との面接を行う「早期面接」を実施していましたが、今は廃止されています。
自己破産手続きは弁護士でも司法書士でも同じ?
これまで自己破産の流れについて解説しましたが、依頼先が弁護士でも司法書士でも流れは同じなのか気になりますよね。
基本的に流れは同じですが、大きな違いとして代理権の内容があります。
弁護士に依頼すると、破産者の代理人として申し立てや裁判所への同行が可能です。
しかし司法書士の場合は代理人ではないため、申し立ては破産者本人がする必要があり、裁判所への同行もできません。
司法書士は書類作成を主に行うので、弁護士のように全ての手続きを任せられるわけではないので気をつけましょう。
司法書士に依頼すると管財事件で費用が高くなることも!
また、管財事件として扱われる際、本人申し立てだと通常管財となる可能性が高いです。
管財事件では、更に以下の費用がかかります。
管財事件別 | 費用 |
---|---|
少額管財事件 | 20万円 |
通常管財事件 | 50万円 |
弁護士に依頼していれば基本的に少額管財となりますが、司法書士に依頼している場合通常管財となる事が多いので、一気に費用が高くなる場合があります。
司法書士は弁護士よりも依頼費用が安いですが、結果的に弁護士よりも高くなる可能性もあるので注意が必要です。
自己破産は弁護士に依頼するのがおすすめ!
司法書士と弁護士では、自己破産の手続き流れは同じですが、対応している内容が大きく異なります。
特に管財事件になりそうな場合は、弁護士に依頼することがおすすめです。
弁護士に依頼した場合は、一般的に少額管財事件として扱われるため費用も抑えられます。
また管財事件で行われる債権者集会に弁護士に同行してもらい、質問に答えてもらえるので安心ですよ。
弁護士に依頼すると、書類作成や申し立て、裁判所への同行など全てを任せられるので、自分の負担が一気に軽減されます。
司法書士だと、申し立てや裁判所へ行く際は自分のみで行う必要があるので注意しましょう。
弁護士事務所では無料相談を受け付けているところも多いので、まずは相談してみましょう。
自己破産の手続きに関するよくある質問
このトピックでは自己破産の手続きに関するよくある質問について、以下の3つを紹介します。
- 自己破産のメリットやデメリットって何?
- 自己破産にはどれくらいの費用がかかるの?
- 自己破産って個人と法人で違うことはある?
①自己破産のメリットやデメリットって何?
自己破産の主なメリットは以下の通りです。
自己破産のメリット
- 非免責債権以外の借金が全て免責される
- 仕事は失わない
- 特定の財産は残せる
- 自己破産後の収入は自由
- 精神的に余裕ができる
自己破産の大きなメリットは、やはり非免責債権以外の借金が全て免責されることですね。
自己破産の主なデメリットは以下の通りです。
自己破産のデメリット
- ブラックリストに登録される
- 財産が没収される
- 手続き中は職業や資格に制限がかかる
- 連帯保証人や保証人に迷惑がかかる
- 官報に情報が掲載される
自己破産の大きなデメリットは、ブラックリストに載ることですね。
自己破産を検討している方は、メリットとデメリットどちらも把握した上で慎重に決めましょう。
②自己破産にはどれくらいの費用がかかるの?
A. 自己破産の費用は手続き方法によって異なります。
手続き別の費用目安は以下の通りです。
手続き方法 | 費用目安 |
---|---|
同時廃止事件 | 35万円程度 |
管財事件 | 130万円程度 |
少額管財事件 | 70万円程度 |
上記の通り管財事件になった場合は多額の費用が必要になります。
特に破産者本人の申し立てだと管財事件として扱われることが多いので気をつけましょう。
少額管財事件を適用したい方は、弁護士に依頼することがおすすめですよ。
③自己破産って個人と法人で違うことはある?
A. あります。
個人での自己破産では、同時廃止事件として扱われることも多いですが、法人が自己破産をする場合は、管財事件として扱われます。
法人の自己破産で同時廃止事件として扱われることは、ないと思って良いでしょう。
また必要書類も大きく異なり、法人の場合取締役会議事録などの書類も必要になります。
自己破産の流れを把握しておくことが大切!
自己破産では手続き方法によって必要な期間も手続き方法も異なります。
基本的には半年以上かかると思っておくと良いでしょう。
また、手続きをスムーズに進めるためには必要書類の事前準備が大切です。
できるだけ早く書類を集めて、不備が内容に細かく確認しましょう。
自己破産を行う場合は、弁護士に依頼することがおすすめです。
弁護士であれば、代理人としてあらゆる手続きを任せられるので安心ですよ。
また、自己破産だけでなく他の債務整理に関するアドバイスももらえます。
弁護士事務所は無料相談を行っていることも多いので、まずは相談をしてみましょう。