財形住宅融資とは?どんなメリットとデメリットがあるのか?

住宅ローン用語集

「財形住宅融資」とは、財形貯蓄をしている人だけが利用できる住宅金融支援機構の融資制度です。

一般の住宅ローンとはことなり、金利が低いというメリットがあったり、融資額の優遇があるなどさまざまな特典があります。

ただ、いくつかの特典がある一方でデメリットもありますので、仕組みをよく理解しておかないと優遇が受けられないケースも出てきます。

<この記事はこんな人にオススメ>
・財形住宅融資の基本的に仕組みについて知りたい人
・銀行の住宅ローンと財形住宅融資を比較し、どちらにメリットがあるのか知りたい人
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財形住宅融資の基本概要

まず、財形住宅融資の基本的な仕組みから解説していきます。

なお、以下の情報は住宅金融支援機構の公式情報より一部引用しています。
引用:独立行政法人住宅金融支援機構 財形住宅融資のご案内

利用条件

冒頭でも触れたとおり、財形住宅融資は財形貯蓄をしている人だけが利用できる住宅金融支援機構の融資制度ですが、財形貯蓄の条件以外にも以下のような利用条件が決められています。

申し込み条件備考
自分で所有、または居住するための住宅を建設する人。またはリフォームする人返済が終了するまで融資住宅に居住することが必要
以下のすべての条件に当てはまる人
・一般財形貯蓄、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄のうちいずれかを1年以上継続していること
・借入申込日前2年以内に財形貯蓄の預け入れをしていること
・申込日に財形貯蓄残高が50万円以上あること
ふたつ以上の財形貯蓄をしている場合は、いずれかの貯蓄を2年以上継続し、貯蓄合算額が50万円以上あれば融資の対象となる
勤務先から住宅援助を受けられること
※負担軽減措置
リフォーム融資の場合は不要
借入申込日現在で、満70歳未満(リフォームの場合は79歳)であること親子リレー返済を利用する場合は、この限りではない
総返済負担率が以下の基準以上であること
・年収400万円未満…30%以下
・年収400万円以上…35%以下
※総返済負担率=住宅ローンやマイカーローンなどの返済額が年収に占める割合
総返済負担率の条件に合致しない場合でも、同居者、または同居予定者の収入を合算できる(一定の条件あり
建物と敷地に第一順位の抵当権を設定できること

※リフォーム融資の場合は、建物に抵当権が設定できること

抵当権の設定費用は利用者負担
火災保険に加入すること返済終了までの間、融資対象となる建物に指定の火災保険をかけておくことが必要
融資手数料や連帯保証人不要

どこに申し込めばいい?

財形住宅融資は、購入する予定物件がある地域と同じ都道府県にある「住宅金融支援機構の取り扱い金融機関」で申し込めます。

住宅金融支援機構に直接申し込むこともできますが、融資決定から返済終了までの手続きは金融機関でおこなうことになります。

以下は、財形住宅融資の申し込みができる代表的な都市銀行と、一部の地方銀行を一覧にしたものです。

<財形住宅融資の取り扱い金融機関 ※一部抜粋>

都市銀行みずほ銀行  三菱UFJ銀行  りそな銀行 三井住友銀行  埼玉りそな銀行
信託銀行三井住友信託銀行(東京都)
北海道北海道銀行(北海道) 北洋銀行(北海道) 北海道労働金庫(北海道)
関東地方青森銀行(青森県) みちのく銀行(青森県) 秋田銀行(秋田県)
中部地方群馬銀行(群馬県) 足利銀行(栃木県) 常陽銀行(茨城県) 武蔵野銀行(埼玉県) 千葉銀行(千葉県) 京葉銀行(千葉県) 中央労働金庫(東京都)
近畿地方滋賀銀行(滋賀県) 京都銀行(京都府) 南都銀行(奈良県) 紀陽銀行(和歌山県)* みなと銀行(兵庫県) 近畿労働金庫(大阪府)
九州地方福岡銀行(福岡県) 北九州銀行(福岡県)佐賀銀行(佐賀県) 十八銀行(長崎県)親和銀行(長崎県) 肥後銀行(熊本県) 大分銀行(大分県) 宮崎銀行(宮崎県) 鹿児島銀行(鹿児島県) 西日本シティ銀行(福岡県) 鹿児島相互信用金庫(鹿児島県) 九州労働金庫(福岡県)

このほかにも地域の金融機関の多くが財形住宅融資の窓口となっていますので、詳しくは以下の公式サイトをご確認いただければと思います。
参考:住宅金融支援機構 財形住宅融資の申し込み先
URL
参考:住宅金融支援機構 財形住宅融資 お申込みから資金の受取まで

用意すべき書類は?

つぎに必要書類についてです。

具体的には購入する不動産や、新築かリフォーム費用に使うか…という用途により必要書類はことなります。

今回は新築物件を購入するケースで、どのような書類を提出すべきなのか一覧にしています。

財形住宅資金借入申込書住宅金融支援機構で入手
負担軽減措置などの証明書
財形貯蓄残高計算依頼書
財形住宅融資の融資金利に関する確認書
封筒
住宅金融支援機構 財形住宅融資商品概要説明書
提出書類送付書
取り扱い金融機関の希望届
申し込み内容確認書
運転免許証やパスポート利用者本人と連帯債務者の証明書が必要
収入および納税に関する公的証明書住民税課税証明書か特別徴収税額の通知書

納税証明書や確定申告書の控え

建設敷地に関する土地の登記事項証明書※全部事項証明書
工事請負契約書など原本の提示は必要

いくらまで借りられる?

財形住宅融資を利用した場合の融資額は以下のとおりとなります。
・一般財形貯蓄、財形年金貯蓄または財形住宅貯蓄の残高合計の10倍まで
・住宅取得価額の90%まで
・最高4,000万円まで

たとえば、財形貯蓄の合計額が300万円で3,000万円の物件を購入する場合は、300万円の10倍で3,000万円までの融資が可能ですが、融資額は物件価格の90%までとなりますので2,700万円までが融資限度額となります。

銀行住宅ローンと財形住宅融資を比較してみよう

住宅財形融資の概要は上記のとおりですが、財形住宅融資と一般の住宅ローンにはどんな違いがあるのかという点についても見ていきましょう。

5年ごとに金利見直しがある点がポイント

金利面だけを考えると、一般の住宅ローンやフラット35の金利と比較して、財形住宅融資の金利はかなり低くなっています。

<フラット35の金利と、財形住宅融資の金利比較>

フラット35 借り入れ期間21~35年 融資率9割以下年1.270~年1.940%
フラット35 借り入れ期間21~35年 融資率9割超え年1.530~年2.200%
財形住宅融資 当初5年間の金利年0.82%

ただ、財形住宅融資の金利は当初5年間は固定金利ですが、金利は5年ごとに見直されますので「想定以上に金利が上がり、一般の住宅ローン金利と同じになった」ということになることも予想されます。

手数料の違い

財形住宅融資には金利以外にもメリットがあります。

それは、融資の際の手数料が不要という点です。

一般の銀行融資では、住宅ローンの借り入れ時に手数料が必要となるケースがありますが、財形住宅融資は手数料不要ですし保証料もかかりませんので、無駄な出費をおさえることができます。

財形住宅融資のメリットとデメリット

上記のとおり、財形住宅融資は金利が低く融資額も大きいというメリットがありますが、一方でデメリットもあります。

メリット

あらためて財形住宅融資を利用するメリットを整理すると、以下の点があげられます。

・金利が一般の住宅ローンやフラット35と比較しても低い
・事務手数料や保証料が不要
・財形貯蓄残高の10倍まで融資が可能(上限あり)

デメリット

一方でデメリットは以下のとおりとなります。

・最高4,000万円しか借りられない
・団体信用生命保険料は自己負担
・5年後ごとに金利見直しがあり、上限金利が設定されていないために想定以上の金利負担が発生するリスクがある

財形住宅融資の対象になる土地建物の条件

財形住宅融資を利用して住宅を購入する場合、㎡数や築年数などの条件を満たしている必要があります。

新築物件を購入する場合

新築一戸建てや新築マンションを購入する場合は、おもに以下の条件にすべて当てはまる住宅であることが必要です。
(この他にも条件がありますので、詳しくは住宅金融支援機構の公式サイトをご確認ください)

<融資を利用できる住宅のおもな条件>
1. 借り入れ申し込み日前2年以内に完成、または工事中の住宅(未着工を含む)
2. 住宅金融支援機構が定める技術基準に適合する住宅
3. 一戸あたりの住宅部分の床面積が以下の面積である住宅
一戸建て…70㎡以上280㎡以下
マンション…40㎡以上280㎡以下
参考:住宅金融支援機構の公式サイト
URL

中古物件を購入する場合

中古物件の利用条件については以下のとおりです。

<融資を利用できる住宅の条件>

  1. つぎのいずれかに当てはまる住宅
    ・適合証明書により財形住宅の中古住宅タイプのいずれかに適合すると証明されている住宅
    ※詳しくは下記住宅金融支援機構の公式サイトを参照
    ・フラット35公式サイトに掲載されている「適合証明書が省略できる中古マンション」であることが「適合証明省略に関する申出書」により確認された住宅
    ・リ・ユースマンション適合確認書により要件に適合すると確認された住宅
  2.  二つ以上の居室がある住宅で店舗併用住宅ではないもの
  3.  建築後2年を超えた住宅
  4.  申し込み日前に売り主から申し込み者本人に所有系の登記がなされていない住宅で、申し込み後に本人所有となるもの
  5.  敷地の見地が所有権、または借地権である住宅

子育て世代に朗報!勤労者支援貸付金利引下げ特例措置

財形貯蓄をしている場合、住宅金融支援機構の財形住宅融資とは別に「財形持家転貸融資」を利用することも可能です。

「財形持家転貸融資」とは、独立行政法人勤労者退職金共済機構が指定金融機関から資金調達し、勤務先を経由して勤労者に「住宅購入資金を転貸しする」という仕組みのことを指しています。

財形持家転貸融資を利用できる人の条件は以下のとおりです。

  • 財形貯蓄を1年以上おこなっていること
  • 50万円以上の貯蓄残高があること
  • 勤務先の会社に財形持家転貸融資制度があること

特例措置を受けられる人の条件

さらに、財形持家転貸融資を利用する人のなかで以下条件にあてはまる人は、「子育て勤労者支援貸付金利引き下げ特例措置」が受けられます。
※平成31年1月現在、通常金利0.70%に対し▲0.20%の金利優遇があります。

  • 18歳以下の子どもを扶養している勤労者
  • 自分が所有、または居住するための住宅を取得(リフォーム)すること
  • 1年以上継続して財形貯蓄をしていること
  • 借り入れ申込日の2年前から借り入れ申し込み日までの期間内に、財形貯蓄契約にもとづく定期の積み立てをおこなっていること
  • 借り入れ申込日時点で50万円以上の財形貯蓄残高があること
  • 事業主から負担軽減措置を受けられること

そのほかの詳しい条件は、以下の公式サイトをご覧ください。

参考URL 独立行政法人 勤労者退職金共済機構 子育てをされている勤労者の皆様へ
http://www.zaikei.taisyokukin.go.jp/tokurei/kosodate.php

ローンはリスクを考えて利用しよう

財形住宅融資を利用する場合、融資条件は「積み立て残高の10倍まで」と決められています。

一方で融資上限額は4,000万円までという条件がありますが、それでも「がんばって積み立てた分だけ融資が受けられる」というメリットは見逃せません。

したがって、財形住宅融資のメリットを最大限活用するためには、すこしでも早く長期で財形貯蓄をしておくことがポイントとなりそうですね。