財形住宅貯蓄とは?どんな要件が定められているのか…メリットとデメリットは?

住宅ローン用語集

財形貯蓄は「財形制度」という国の制度のひとつです。

昭和46年に制定された勤労者財産形成促進法では、勤労者が生活の安定のために貯蓄をしたり、住宅を取得しやすくするために、財形貯蓄や財形持家融資制度などの仕組みがつくられました。
参考:厚生労働省 勤労者財産形成促進制度(財形制度)

財形制度は一般的に「財形※ザイケイ」と、ひとことで呼ばれることが多く、サラリーマンが給与天引きで貯蓄できる制度として有名です。

ちなみに「財形」には、一般財形と財形住宅貯蓄、さらには財形年金貯蓄の3種類があります。

今回は住宅取得のために是非利用したい「財形住宅貯蓄」について詳しく解説します。

<この記事はこんな人にオススメ>
・財形住宅貯蓄について詳しく知りたい人
・財形住宅貯蓄を利用した住宅融資について、簡単な仕組みを知っておきたい人

一般財形と住宅財形の違い

まず、さきほど触れた「財形制度」のなかで、一般財形と財形住宅貯蓄にはどんな違いがあるのか、詳しく見ていきます。

比較表

以下は一般財形と財形住宅貯蓄とを比較した表です。

両方の財形貯蓄ともに「給与天引きで自動的に積み立てができる」という点には変わりありませんが、財形住宅貯蓄のみ、住宅建設やリフォーム費用に充当できる仕組みがあります。

 

利用条件 一般財形 財形住宅貯蓄
利用できる人の条件 勤労者(労働者および国家公務員、地方公務員、船員) 満55歳未満の勤労者で、他に住宅財形契約をしていない方
資金の使い道 貯蓄目的の制限はなく自由 ・住宅の建設
・住宅の購入(新築・中古を問わず、一戸建て・マンション共に可)
・工事費が75万円を超えるリフォームなど
積み立て期間 原則3年以上 原則5年以上
払い出し可能期間 貯蓄開始から1年経過後はいつでも可能 住宅の取得が理由の場合はいつでも可能
非課税限度額 無し 元利合計550万円以内
※財形年金貯蓄と合算される
契約数 1人複数契約も可能
※勤務先によっては制限がある
1人1契約

財形住宅貯蓄は税制メリットが大きい

財形住宅貯蓄は持ち家の取得や増改築などを促進するために作られた制度で、非課税枠がある点が特徴と言えます。

ただ、利子部分が非課税になるといっても、財形住宅貯蓄の利率は0.015~0.020%程度です。

たとえば毎月3万円、ボーナス時に10万円を10年間積み立てた場合、元金と利息の合計で約560万円の貯蓄が可能ですが、利息として得られるお金は「約5,000円前後」と微々たるものです。

リスクをとるか安全性をとるか、非常に悩ましいところではありますが、10年以上の長期で運用するなら投資要素を含む金融商品で資金を運用したほうがメリットは大きいでしょう。

財形住宅貯蓄のメリットやデメリット

上記の税制メリットのほかにも、財形住宅貯蓄にはいくつかのメリットがありますし、その一方でデメリットもあります。

メリット

繰り返しになりますが、住宅財形には「無理なく貯蓄ができる」という点や「550万円までの貯蓄額については非課税」というメリットがあります。

それにくわえ、財形住宅貯蓄には「住宅融資の優遇措置がある」というメリットもあります。

財形住宅融資

財形住宅貯蓄をしている人の場合「財形持家転貸融資(通称 財形住宅融資)」が受けられます。

財形住宅融資は、なにも住宅財形貯蓄をしている人だけが対象となるわけではなく、一般財形をしている人も対象になります。

気になる金利ですが、以下のとおりフラット35の通常金利と比較すると、当初5年間は半分程度の金利で利用できます。

フラット35 返済期間15~20年 年1.220~年1.890%
財形住宅融資 当初5年間 年0.82%

ただ、財形住宅融資を受けるためには以下の条件をクリアしている必要があります。

利用できる人の条件 次の全てに当てはまる人
(ア) 一般財形貯蓄・財形年金貯蓄・財形住宅貯蓄のいずれかを1年以上継続しておこなっている
(イ) 申込日前2年以内に財形貯蓄の預け入れをおこなっている
(ウ) 申込日における財形貯蓄残高が50万円以上ある
勤務先から住宅について援助(負担軽減措置)を受けられる人
年収や返済比率の条件 総返済負担率(※)が以下の基準内であること
・年収400万円未満…30%以下
・年収400万円以上…35%以下
(※総返済負担率)住宅ローン、マイカーローン、教育ローン。カードローン、クレジットカードのキャッシングなどの「返済額合計」が、年収のうちどれくらい占めているか?という割合
融資を受けることができる住宅や土地 <以下の1および2に当てはまる住宅>
1.住宅部分の床面積が70㎡以上280㎡以下の住宅
2.住宅金融支援機構の定める技術基準に適合する住宅
<次の3に当てはまる土地>
3.申込年度の2年前の年の4月1日以降に取得した土地または取得予定の土地(※土地面積の制限はない。土地融資のみの利用は不可)

そのほかの詳しい条件などについては、以下の住宅金融支援機構公式サイトをご覧ください。
引用:住宅金融支援機構公式サイト

デメリット

一方、住宅財形にはデメリットとまでは言えませんが、いくつかの注意すべき点もあります。

おもな注意点は以下のとおりです。

  • 金利面…勤務先の財形制度で優遇措置がない場合は、ネット銀行のほうが金利が高いケースがある
  • 途中解約…5年以内の引き出しや、積み立て期間の条件を満たさない場合は非課税の対象外となる
  • 目的外利用…住宅財形で貯めたお金を教育費用に使うなど、目的外利用をした場合は、5年間にさかのぼって課税される

とくに直近の金融情勢を考えると財形貯蓄の金利メリットはそれほど高くはありません。

したがって、結局のところ住宅財形には「無理なく貯金できる」「住宅金融支援機構の優遇融資が受けられる」という二つのメリットしかない…ということになります。

住宅財形貯蓄のよくある質問

つぎに住宅財形貯蓄を検討している方から寄せられる、よくある質問についてもいくつかご紹介します。

途中解約は可能ですか?

住宅財形は原則5年以上の積み立てが条件となっていますが、積み立てている間に住宅費用以外のお金が必要になり、解約せざるを得ない…ということは誰にでも起こり得ることです。

そのような場合は、住宅財形貯蓄の積み立て期間中であっても中途解約は可能です。

ただし、住宅取得目的以外でお金を引き出した場合は、前述のとおり過去5年間に発生した利息に対しては課税されますので注意が必要です。

退職しても継続できますか?

現在の勤務先を退職してから2年以内に転職し、且つ新しく就職した勤務先が財形貯蓄制度を導入している場合にかぎり、財形住宅貯蓄は継続できます。

ちなみに、退職後に以下に該当する場合は財形住宅貯蓄の継続はできません。

  • 個人事業主になった
  • 現在の勤務先を辞めてから3年後に再就職した

また、ほとんどのケースでは会社を退職する際に財形貯蓄の解約手続きもおこなわれますが、万一解約手続きがおこなわれない場合は、自分で手続きをしないと後で面倒なことになりますので、注意しましょう。

住宅積立とローンのベストな相談先

以上が住宅財形貯蓄の基本的な情報です。

ただ、これだけ見ても「いまいち財形の制度がわからない」という方や、「住宅購入の際の資金計画について相談したい」という方も多いことでしょう。

そのような方が気軽に相談できるのはどこなのか、いくつかご紹介しておきます。

FP

「FP」とは、フィナンシャルプランナーを省略した言葉です。

フィナンシャルプランナーは、ライフプランの設計やマイホーム取得のための資金計画、さらには税務に関する知識などを備えているお金のプロです。

そのような方が相談できる窓口として「日本FP協会」のフィナンシャルプランナー検索システムがあります。

このサイトから、自分が希望する相談内容や住んでいる地域を指定するとベストな相談先を見つけられますので、是非利用してみることをおすすめします。
参考:日本FP協会 公式サイト

不動産業者

住むエリアや希望する不動産(一戸建てやマンション)が決まっている場合は、やはり地元の不動産業者に相談するのがベストです。

財形住宅貯蓄のことだけなら、勤務先の総務担当者や銀行で相談できます。

ただ「せっかくお金を貯めても欲しい家がない…」といったケースも考えられます。

そういう意味では、地元の信用できる不動産業者に相談に行き、資産形成から購入に至るまでのアドバイスをもらうことも一つの方法と言えます。

ちなみに大手不動産業者には、さきほどご紹介したフィナンシャルプランナーが常駐しているところもありますので、問い合わせの先には「資金調達の仕方についても相談したい」と事前に伝えておくとスムーズかもしれません。

住宅購入は長期計画が重要

住宅購入時の理想的な自己資金比率は「購入金額の30%」です。

つまり4,000万円の物件購入を仮定すると、1,200万円は現金で用意しないといけない…ということになります。

また住宅購入時には、税金や保証料などの「諸経費」も必要です。

このようなことを考えると、やはり住宅購入のための資金作りは財形住宅貯蓄などを活用して、10年程度の長期で貯蓄するのが大切と言えますね。

財形住宅融資とは?どんなメリットとデメリットがあるのか?
「財形住宅融資」とは、財形貯蓄をしている人だけが利用できる住宅金融支援機構の融資制度です。 一般の住宅ローンとはことなり、金利が低いというメリットがあったり、融資額の優遇があるなどさまざまな特典があります。 ただ、いくつかの特典...