滞納した家賃の時効は5年間!しかし時効を待つのはほぼ無理

家賃滞納

家賃を滞納してしまうと、大家さんや管理会社から未払い分の家賃を請求されます。

この記事を読んでいる人は、「家賃を時効か何かで踏み倒す方法はないかな…」と探しているのではないでしょうか。

結論から言うと、家賃は5年で時効になります。

しかし、家賃を時効によって踏み倒すのはほぼ不可能です。

また夜逃げなどで逃げるのもかなり難しいでしょう。

もし家賃がどうしても支払えない場合は、専門家に相談するか、債務整理という方法があります。

この記事では、家賃の時効が成立する方法や条件、家賃が支払えない人が取るべき対策について解説します。

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滞納した家賃は5年で時効になる

冒頭でも解説したように、滞納した家賃の請求権は5年で時効になり消滅します。

民法第167条では、一般的な債権の時効は10年とされています。

しかし、家賃など1ヶ月という短い期間で定期的に発生する金銭の債権は、民法169条により5年で債権が消滅すると定められているのです。

しかし、時効はただ5年間待つだけでは成立しません。

時効を成立させるには条件を満たす必要があるのです。

また、時効が成立するのは家賃支払い日から5年が経過したもののみ。

例えば、2020年1月に支払う予定だった家賃は2025年1月に、2020年2月支払い予定の家賃は2025年2月に時効を迎えます。

つまり、5年経過すれば全ての家賃滞納分の請求権が時効で消滅するわけではないので注意が必要です。

滞納した家賃が時効になる条件

前の章では、滞納した家賃が5年間で時効になること、しかしそれには条件があることを解説しました。

ここではその条件について詳しく見ていきましょう。

具体的には次の3つがあります。

  • 時効までの5年間で一切家賃を支払っていないこと
  • 貸主によって時効の中断がされていないこと
  • 時効の援用をすること

これらのアクションがされていれば、時効は成立しません。

しかし、時効を成立させるには貸主による時効の中断と、時効の援用の成立が非常に難しいです。

この2つの条件によって家賃の踏み倒しはほぼ不可能であると言えます。

では、それぞれの条件について深掘りしていきましょう。

滞納した家賃が時効になる条件①時効までの5年間で一切家賃を支払っていないこと

まず、滞納した家賃が時効になるには、時効までの5年間で一切家賃を支払っていない必要があります。

その理由は、家賃を少しでも支払ったということは家賃を滞納しているのを認めたという「債務の承認」が成立するからです。

1円でも支払うと、債務の承認をしたことになり時効の期間がリセットされます。

滞納した家賃が時効になる条件②貸主によって時効の中断がされていないこと

滞納した家賃が時効になるための条件2つ目は、貸主による時効の中断がされていないことです。

貸主としては、時効を成立させず入居者からしっかり家賃を回収したいもの。

そこで貸主側のアクションで時効の成立を中断させ、時効の期間をリセットさせられます。

時効の中断をするための方法は次の2つです。

  • 請求
  • 差し押さえ

請求とは、貸主から入居者に対する請求のことです。

具体的には訴状を提出したり、簡易裁判所や調停に申し立てたり、和解の申し立てをしたりすることが貸主側の請求行為になります。

また裁判所が強制執行の許可を出せば、入居者の財産を差し押さえられます。

これらのようなアクションが5年間一切なければ、時効は成立しません。

また、入居者本人に対する請求だけでなく、保証人に対しての請求でも時効の中断が成立します。

5年もの間、誰にも家賃支払いの請求をしないのは考えにくいものですよね。

滞納した家賃が時効になる条件③時効の援用をすること

さらに、時効を成立させるには「時効の援用」を入居者が行う必要があります。

時効の援用とは、入居者が「時効が成立する5年間が経過したので、滞納分の家賃を支払いません」という意思表明を貸主に行うことです。

この意思表明は内容証明郵便を貸主に送る必要があり、貸主がそれを受け取らなくてはなりません。

しかし、よっぽど貸主が家賃の回収を諦めていない限りは、この内容証明を受け取ってくれないでしょう。

滞納した家賃の時効を待つリスク

前の章では、滞納した家賃が時効になるための条件について解説しました。

滞納分の家賃の時効を成立させるには5年間必要ですが、その間に貸主からの請求などがあれば時効はリセットされます。

また、時効を待つことはそれ相応のリスクも存在します。

そこでこの章では、時効を待つとどのようなリスクがあるのかを見ていきましょう。

具体的には次のようなものがあります。

  • 時効が成立するまで借金が増えていく
  • 住民票を移せない
  • 精神的負担が大きい
  • クレジットカードやローンなどの契約ができなくなる

順番に見ていきましょう。

滞納した家賃の時効を待つリスク①成立するまで借金が増えていく

まず、家賃滞納分の時効を待つことのリスクのひとつが、成立するまで借金が増えていくことです。

時効を成立させるには、5年間という期間を置く必要があります。

その期間の借金は家賃だけでなく、滞納した家賃の遅延損害金も加算されていくのです。

遅延損害金は、多くの場合年率で加算されていきます。

つまり、滞納してからの時間が長いほど遅延損害金は増えていくのです。

家賃滞納分の遅延損害金については、貸借契約書に明記していない場合もあります。

しかし明記していなくても家賃を滞納すると遅延損害金は発生し、その場合は年率5%で計算されるのです。

例えば、家賃が5万円で5年間滞納すると、12,500円の遅延損害金がかかります。

これはあくまで1ヶ月分の家賃なので、他にも滞納分があればその分も遅延損害金が必要です。

また遅延損害金は、上限は14.6%とされており、上限より低ければいくらに設定してもよいのです。

滞納した家賃の時効を待つリスク②住民票を移せない

家賃を滞納して時効を成立させるためには、貸主からの催促から逃れる必要があります。

そのためにいわゆる「夜逃げ」をして、催促が届かないようにする人がいます。

しかし夜逃げをして住民票を移すと、貸主にも新しい住所を調べられるようになるのです。

そこで住民票を移さずに時効を待つことを考える人もいますが、住民票なしで生活するのはかなり難しいでしょう。

身分証を作成できないほか、新しい仕事を探すのが難しくなります。

さらに、夜逃げをするのは時効まで逃げ切る方法としては有効ではありません。

貸主は入居者の住所が分からなくても、「公示送達」という方法で裁判の判決を出すことができます。

すると時効の中断が成立するので、5年ぴったりで時効を成立させるのはかなり難しいでしょう。

貸主が諦めるまで待つのは大きな負担になります。

滞納した家賃の時効を待つリスク③精神的負担が大きい

そもそも、家賃を滞納して逃げ続けるのは精神的な負担がかなり大きいです。

ここまで触れたように、時効を迎えるのは非現実的です。

5年間ただ待てばいいわけではなく、貸主が催促をしなかったり時効の援用が成立しないと時効にはなりません。

時効の中断がされると、5年間を起算するタイミングがリセットされるので、時効が成立するのは5年どころではないかなりの時間が必要です。

このように来るか分からない時効を、ただ逃げて待ち続けるのは非常に窮屈な思いをするでしょう。

逃げている間は借金も増え続けるので、諦めて滞納分を払うことになったときの遅延損害金を見て、逃げなければよかったと後悔することも考えられます。

滞納した家賃の時効を待つリスク④クレジットカードやローンなどの契約ができなくなる

家賃を滞納して長期化すると、クレジットカードやローンなどの契約ができなくなる可能性があります。

家賃保証会社が入居者と貸主の間に入っている場合、入居者が家賃を長期滞納すると家賃保証会社が代位弁済し、債権が貸主から家賃保証会社に移ります。

このとき、家賃保証会社がクレジットカードやローンなどの信販も行っていると、信用情報に記録が残ってしまうのです。

信用情報とは、個人のクレジットカードやローンなどの利用を記録したもの。

この信用情報に長期滞納の記録が残ると、最低5年間はクレジットカードやローンの契約ができなくなります。

また現在クレジットカードやローンを利用している場合、強制解約になる可能性もあるのです。

基本的に賃貸契約と信販の契約は異なるものなので、信用情報に長期滞納の記録があると部屋を借りれないわけではありません。

しかし保証会社が間に入っていると、それぞれの契約ができない可能性があります。

家賃滞納を解消するなら大家さんや専門家に相談しよう

前の章では、滞納した家賃の時効を待つことのリスクについて解説しました。

ここまでで触れたように、家賃の時効を待つのはかなり難しいです。

また時効を待つ間にも遅延損害金が重なっていくので、時効を待つよりも早めに手を打つことをおすすめします。

とはいえ、時効を待たないというのはすぐに家賃を払うということではありません。

家賃を払えるだけの経済的余裕がないから滞納しているのですからね。

家賃を滞納してしまって、どうしても払えそうにない場合はまず大家さんに相談することをおすすめします。

場合によっては分割払いにしてくれたり、支払いを待ってくれる可能性があります。

また、家賃を含めた借金問題を解決する方法として債務整理も検討してみましょう。

債務整理には次の3種類があります。

  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産

詳しく見ていきましょう。

任意整理

任意整理とは、弁護士や司法書士に依頼して裁判所を通さずに入居者と貸主の和解を進める方法です。

任意整理は個人でも可能ですが、貸主と和解するために交渉が必要です。

ただの一個人が交渉するよりも、専門家の手を頼ったほうが交渉がスムーズにいきます。

任意整理をすると、借金の元金を分割して支払うことになります。

家賃を滞納している場合、遅延損害金をカットできるほか、家賃を無理のない範囲で毎月支払っていくことができるのです。

任意整理は家賃だけでなく、他の借金問題も解決できます。

また全ての借金を任意整理する必要はなく、借り入れ額が少ない会社は任意整理から外すことも可能です。

この任意整理をすると、信用情報に記録が残り全ての借金を完済したあと5年間はクレジットカードやローンなどの契約ができなくなります。

また弁護士や司法書士への依頼料も必要ですが、借金問題を解決するには非常におすすめな手段です。

個人再生

任意整理は借金を元金だけにして分割で支払うものです。

一方、この個人再生は借金を圧縮できる手続きです。

個人再生をすると、5,000万円まで借金を10%に圧縮できます。

残りの借金は3年間で返済する必要がありますが、元金だけの返済でも毎月の負担が大きい人にとても有効です。

任意整理と同様に、個人再生をすると信用情報に記録が残るため、借金の完済後5年間はクレジットカードやローンの契約はできなくなります。

この個人再生は、任意整理とは異なり裁判所を通して行われます。

未払い分が家賃だけなら任意整理でも十分だと考えられますが、他にも返済があり借り入れ額が大きい場合は個人再生も視野に入れてみましょう。

自己破産

最後に、借金の解決方法として自己破産を紹介しておきます。

この方法は、滞納している支払いが家賃だけならあまり参考にはならないでしょうが、こういうものもあるという程度に知っておくとよいでしょう。

自己破産をすると、裁判所を通して全ての借金を無かったことにできます。

家賃だけでなく、他からの借り入れ額がかなり大きく、個人再生をしても払いきれないと考えられる場合に使われる手続きです。

ただし自己破産には大きなデメリットがあります。

それは所有する財産を手放す必要があることです。

具体的には、資産価値が20万円以上あるものを手放す必要があります。

つまり、車や土地などを持っている場合はそれらを失うことになるのです。

また、自己破産をすると最低でも7年以上はクレジットカードやローンを組めなくなります。

さらに官報に氏名が掲載され、闇金などからの勧誘の手紙が届くようになるというデメリットがあります。

家賃が払えないなら誰かに相談しよう

この記事では、家賃の時効が成立する方法や条件、家賃が支払えない人が取るべき対策について解説しました。

記事内で解説したように、家賃の時効を待つのはかなり困難です。

またそれ相応のリスクもあるので、おすすめできません。

もし家賃が支払えずに困っている人は、大家さんや専門家に相談しましょう。

行政や法テラスという無料の相談窓口に行くのもよいですが、借金問題を解決するなら債務整理も検討してみるのをおすすめします。