住宅を購入する場合「全額キャッシュで購入する」という方はごくわずかです。
ほとんどの方は住宅ローンを利用すると思いますが、住宅ローンの利用で重要になってくるのが「自己資金割合」です。
自己資金割合によっては、ローンの審査や金利にも影響します。
・住宅ローンの自己資金割合について、基本的なことを知っておきたい人
・住宅ローンの自己資金割合によって、住宅購入時にどんなメリットがあるのか知っておきたい人
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自己資金割合とは購入価格のうち現金支払いが占める割合
「住宅ローンの利用における自己資金割合」とは、住宅購入価格のうち「現金で用意できる額が占める割合」のことを指しています。
ただ現金で支払うもののなかには、住宅の頭金はもちろん税金や手数料などの諸費用も含まれてきます。(※諸費用については、このあと詳しく解説します)
自己資金割合は30%を目標にしよう
ちなみに、住宅を購入する場合の理想的な自己資金割合は「30%※頭金と諸費用を含む」です。
たとえば4,000万円の住宅を購入し、自己資金を30%用意する場合の頭金や諸費用の考え方は以下のとおりとなります。
住宅の価格(土地+建物) | 4,000万円 |
---|---|
自己資金①頭金 | 800万円 |
自己資金②諸費用 | 400万円 |
自己資金合計(購入価格の30%) | 1,200万円 |
自己資金割合を上げるメリット
自己資金割合を上げるメリットとしては、当たり前のはなしですが「毎月の返済額が軽くなる」という点があげられます。
以下に「自己資金0円」と「自己資金20%」を用意した場合の、返済額の比較表を載せていますが、4,000万円の物件を購入した場合は、毎月のローン返済額に2万5,000円の差が出ます。
また、住宅金融支援機構のフラット35を利用し、借り入れ金額が「物件価格の90%」と「物件価格の90%以下」で比較すると、金利や審査の違いも出てきます。
フラット35の場合は、自己資金が少なくなればなるほど審査は厳しくなります。
参考までに、住宅金融支援機構の公式サイトに記載されている説明文をご覧いただければと思います。
<フラット35の融資率の違いによる金利と審査の違い>※住宅金融支援機構公式サイトより引用
融資率が9割を超える場合は、融資率が9割以下の場合と比較して、ご返済の確実性などをより慎重に審査させていただくとともに、お借入額全体の金利を一定程度高く設定させていただきます。
参考:住宅金融支援機構 公式サイト
毎月のローン返済額の違い
さきほど触れた自己資金割合の違いによる、毎月の返済額と総支払額の違いは以下のとおりです。
下記の例で見ると、ローン完済後の総支払額の差は「245万円」となり、非常に大きな差となることがわかります。
<物件購入時の自己資金が0%の場合と20%の場合とを比較>
物件の価格 | 自己資金 | 借入額 | 毎月の返済額 | ローン総返済額 | 総支払額(ローン+自己資金) |
---|---|---|---|---|---|
4,000万円 | 0円 | 4,000万円 | 12.5万円 | 5,227万円 | 5,227万円 |
800万円(20%) | 3,200万円 | 10万円 | 4,182万円 | 4,982万円 | |
差 | ▲2.5万円 | ▲1,045万円 | ▲245万円 |
参考:試算根拠 住宅金融支援機構 住宅ローンシミュレーション
自己資金割合を上げるデメリット
自己資金割合を上げると金利や審査面で優遇されたり、毎月の返済額が少なくて済むというメリットは上記のとおりです。
ただ、自己資金割合を上げ過ぎると「いざというときの貯蓄がなくなる」というデメリットもあります。
一戸建てやマンションの購入後も以下のような出費が考えられます。
- 住宅の補修費用
- 新居の準備費用(引っ越し、家電の購入など)
- 想定外の家族の病気や事故にかかる費用
- 子どもの教育費
したがって、毎月の返済額を下げようとするがあまり自己資金割合を上げ過ぎると、緊急時にお金を用意することができず「カードローンで借金をする」といった事態にもなりかねません。
あくまで理想論ではありますが、30代の夫婦で子どもひとりの一般的な家庭の場合、いざというときのための貯蓄として最低限300万円程度は備えておきたいものです。
現金で支払う諸費用にも注意する
さきほど自己資金割合は30%で「そのうちの10%は現金で支払うべき諸費用」ということをお伝えしましたが、住宅購入時に支払うべき諸費用としては以下のようなものがあげられます。
印紙税 | 1,000~5,000万円以下のローン契約をする場合は2万円 |
登録免許税 | 土地の評価額×1.5%、新築建物評価額×0.4% |
不動産取得税 | 土地の評価額×1/2×3%、建物の評価額×3% ※2021年3月31日までに取得した土地は評価額×1/2 ※軽減措置あり |
司法書士の報酬 | 建物の所有権移転登記などを司法書士に頼んだ場合、4~20万円前後 |
ローン手数料 | 融資額×2%前後 |
保証料 | 融資額1,000万円あたり数十万円、または金利に0.2%程度を上乗せする場合などがある |
火災保険や地震保険料 | 補償内容により変わる。 ※2~10万円程度 |
団体信用生命保険料 | 金利に含まれるケースが多い |
ローン契約後は返済比率も重要
なお、住宅をローンで購入する場合は、自己資金割引のほかにも「返済比率」も考慮しておく必要があります。
返済比率とは年収に対して、一年間の借金返済額が占める割合をあらわします。
たとえば、年収500万円の人が毎月10万円のローン返済をしている場合は、年間の借金返済額は120万円ですから、120万円÷500万円=返済比率24%となります。
ちなみに生活費に余裕をもちながら返済するには、返済比率は35%までが理想です。
また、この借金返済額のなかには住宅ローン以外にも「カードローン」「マイカーローン」などの返済額も含まれます。
ローン契約時には自分の返済比率がどれくらいになるのか、計算してからローンを契約することが大切です。
自己資金割合を少しでもアップするには
今回の記事で住宅購入時に自己資金割合を少しでも増やすことがいかに重要か、おわかりいただけたかと思います。
自己資金割合を上げるためには、なんといっても住宅購入準備段階での「貯蓄」がポイントとなります。
無理なく、そして確実に住宅購入費用を貯めるには、財形貯蓄をおすすめします。
勤務先によっては給与から天引きで貯蓄ができ、さらには優遇金利も適用されるケースがあります。
さらに、財形住宅融資などの特典も受けられますので、住宅の購入を予定しているならぜひ検討してみましょう。