「借金をしたことがある人は、過払い金返還請求の相談をしてみましょう」
そんな宣伝文句のCMをみなさん一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
かつてグレーゾーン金利と呼ばれていた金利があり、グレーゾーン金利で利息を支払っていた人が支払いすぎた利息を取り戻す手続きを過払い金返還請求と言います。
利息が返ってくることからメリットが多いように思える過払い金の返還請求ですが、実はいくつかリスクを抱えています。
はたして過払い金の返還請求が抱えるリスクはどのようなものなのでしょうか。
こちらの記事では、過払い金の返還請求のリスクについて焦点を当てて解説していきます。
永田町司法書士事務所代表 / 東京司法書士会理事
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過払い金の返還請求ってどんな手続き?
まず過払い金の返還請求とは、どのような手続きなのでしょうか。
過払い金の返還請求の意味とやり方について解説していきます。
支払い過ぎた利息を取り返す手続き
過払い金の返還請求とは「かつて支払いすぎた利息を取り戻す手続き」のことを指します。
かつて消費者金融やクレジットカード会社は、利息制限法にて定められた上限を超える部分で無効にもかかわらず刑事罰には科されないグレーゾーン金利というものを適用してきました。
グレーゾーン金利とは、利息制限法の上限利率(15%~20%)を超えているが、貸金業者に適用される出資法の上限利率(29.2%)を超えていない金利のことをいいます。
貸金業法が改正される以前は、多くの貸金業者がこのグレーゾーン金利内で貸付を行っていました。
出典:貸金業法
しかし2006年1月13日の最高裁判所の判決で、利息制限法に違反する金利で支払っていた利息について返還請求ができることが認められたことによって広く過払い金の返還請求の存在が知れ渡りました。
これによってかつて借金をしていた人でも、支払いすぎた金利を取り戻すことが広く知れ渡り、過払い金の返還請求熱がかなり過熱しましたね。
ちなみに過払い金の返還請求の対象となるのは下記のいずれかになります。
借主が法人名義であっても前述の要件を満たせば返還請求をすることが可能となります。
しかし住宅ローンや銀行など低金利で当初から貸付けをしていたものについては、過払金は発生しないため、注意が必要でしょう。
現在は過払い金が発生することがない
2010年6月18日に改正出資法が施行され上限金利が20%に引き下げられたことにより、グレーゾーン金利が撤廃されました。
これにより、上限金利は利息制限法で定められた水準(貸付け額に応じて15~20%)となっています(利息制限法の上限金利を超える金利は、無効・行政処分の対象、出資法の上限金利を超える金利は、刑事罰の対象となります)。
そのため現在では過払い金が発生する余地はほとんどありません。
2010年以降はグレーゾーン金利が法律違反ということになったので、そもそも利息を支払いすぎるということがありません。
また借金を完済して10年以上経過していると消滅時効にかかり、過払い金の返還請求ができなくなります。
過払い金の返還請求の対象となる人は、過払い金の返還請求のリスクも考えたうえで申し込みをしてみてもいいかもしれません。
自分で手続きもできるが実績のある弁護士・司法書士さんへの依頼がオススメ
過払い金の返還請求は支払いすぎた利息を取り戻す手続きで、だれでも金融機関に申し込みをすれば手続きができます。
特に先方の業者は弁護士を立てて徹底的に争ってくることは想定できます。
ようにしましょう。
そのため過払い金の返還請求をする場合、実績のある不利にならないよう、専門家へ依頼をしましょう。
過払い金の返還請求は弁護士・司法書士にとってもやりやすい仕事のようなので、中には法外な手数料を請求する専門家もいるようです。
過払い金の返還請求は必ず実績のある専門家に依頼するようにしましょう。
過払い金の返還請求のリスク・デメリットとは
それでは過払い金の返還請求をするリスク・デメリットとは、どのようなところにあるのでしょうか。
これから過払い金の返還請求をしようと考えている人は、リスクやデメリットを把握してから申し込みをするようにしましょう。
過払い金の返還請求をしても借金が残るとブラックリストに載る
過払い金の返還請求をするリスク1つ目は、借金が残るとブラックリストに載ることです。
勘違いしやすいのですが、過払い金の返還請求をする=ブラックリストに載るというわけではありません。
過払い金の返還請求をしたときにブラックリストに載るのは、過払い金の返還請求後も借金が残っている場合のみ。
つまり
- 完済後に過払い金の返還請求をしてもブラックリストには載らない
- 返済中の金融機関に過払い金の返還請求をして、戻ってくる過払い金で借金がゼロになればブラックリストには載らない
- 過払い金の返還請求は貸金業者ごとに手続きをするので、過払い金の返還請求をしたい会社は選べる
といった点が、過払い金の返還請求とブラックリストの関係です。
そのためブラックリストに載らないことを重視して考えるのであれば、過払い金の返還請求をして借金がゼロになる会社だけを選んで申し込みをするということもできます。
ブラックリストに載ってしまうと、5年間はクレジットカードやカードローンが作成できなくなるというリスクもあります。
これは人生にかかわる大きなリスクなので、過払い金の返還請求をすることでブラックリストに載るかどうかはとても重要ですよ。
借金をしていたことが周りの人にばれる可能性がある
過払い金の返還請求をするリスク2つ目は、借金をしていたことが周りの人にばれる可能性があることです。
過払い金返還請求は金融機関・弁護士・裁判所などとやり取りをすることになります。
そのため場合によっては裁判所から自宅に書類が届くことになるので、郵便物がきっかけで借金が周りの人にばれてしまったというケースがあります。
そういった点も考えるのであれば、弁護士さんなどの専門家に依頼したほうが、周りの人にばれるリスクは少なくなります。
専門家に依頼すると金融機関や裁判所とのやりとりの書類を対応してもらえるため、早い段階から依頼を進めるようにしましょう。
過払い金の返還請求をした会社から今後借り入れができなくなる
過払い金の返還請求をするリスク3つ目は、過払い金の返還請求をした会社から今後借り入れができなくなることです。
先ほど完済した会社に過払い金の返還請求をしても、ブラックリストには載らないということを紹介しました。
ブラックリストとは信用情報という金融機関で共有している情報に、ブラックの状態であることが載ること。
ブラックリストに載ってしまうとほとんどの金融機関から、借り入れやクレジットカード作成ができなくなります。
しかし完済後に過払い金返還請求をした場合でも、過払い金の返還請求をした会社からは多くの場合、借入ができなくなる可能性が高いです。
完済後の過払い金返還請求は信用情報には掲載されないものの、社内の情報には記録が残るでしょう。
そのため過払い金返還請求後は、追加借り入れができなくなるということですね。
個人で過払い金の返還請求をしたときのリスク
過払い金の返還請求をするリスク4つ目は、個人で過払い金の返還請求をしたときのリスクです。
過払い金の返還請求は弁護士や司法書士など専門家に依頼する方法が一般的ですが、個人でおこなうこともできます。
ただし過払い金の返還請求をするには、貸金業者から取引履歴を取り寄せて過払い金を計算し、貸金業者と交渉する必要があります。
貸金業者の中には個人ということで、不当に低い金額を提示して和解を促したり、返還されるまでの期間をのばしたりすることもあるようですね。
個人で過払い金の返還請求を行う場合、専門家への手数料は支払わなくてもいいですが、それ相応のリスクがあることは頭に入れておきましょう。
過払い金が返ってこないケース
ここまで過払い金の返還請求をするリスク・デメリットについて解説してきました。
また過払い金の返還請求をするリスクの1つとして、過払い金が返ってこないケースというのも考えられます。
ここからは過払い金の返還請求をしても、過払い金の返還請求が返ってこないケースについて解説していきます。
時効が過ぎてしまったケース
過払い金の返還請求をしたのに過払い金が返ってこないケース1つ目は、時効期間を過ぎてしまったケースです。
過払い金の返還請求をふくめ、お金の貸し借りについては10年間が時効とされています。
令和2年4月1日より前に契約が成立した金銭貸借は、弁済期から10年経過したときは、時効により消滅します。
民法改正により、令和2年4月1日以降に契約が成立した金銭貸借は「債権者がその権利を行使することができることを知った時から5年」か「債権者がその権利を行使することができる時から10年」を経過したときは、時効により消滅するとなるのです。
そのため完済から10年以上経過していると、過払い金の返還請求をしても過払い金は返ってきません。
ちなみに友人間でのお金の貸し借りについても、10年間が時効ですね。
お金の貸し借りについては最後に取引をした日を基準に時効が決まるので、過払い金の返還請求の場合完済日が時効のスタートになります。
時効になってしまってはどのような手段をとっても過払い金は返ってきませんので、過払い金がある人は早めの対応が必要です。
貸金業者が倒産していたケース
過払い金の返還請求をしたのに過払い金が返ってこないケース2つ目は、貸金業者が倒産していたケースです。
過払い金が一般的に知られるようになって、多くの人に過払い金が戻ってきました。
過払い金が戻ってくることは債務者にとってはうれしいですが、お金を貸していた貸金業者としては経営に影響が出てしまいます。
ましてや過払い金の返還請求はテレビCMでもバンバン放送されていたので、貸金業者が受けたダメージはかなり大きなものでした。
大手消費者金融はなんとか経営を立て直しましたが、中小の貸金業者はいまだ倒産のリスクを抱えています。
かつて武富士や栄光といった消費者金融が倒産したように、今後消費者金融が倒産しないという保証はありません。
貸金業者が倒産してしまってはほとんど過払い金の返還請求はできないので、早めの対応が必要ですね。
自分で手続きをしたために上手くいかないケース
過払い金の返還請求をしたのに過払い金が返ってこないケース3つ目は、自分で手続きをしたためにうまくいかないケースです。
過払い金の返還請求は貸金業者から取引履歴をもらって、過払い金がいくらになるのか計算しなければなりません。
この計算に慣れている人は問題ないですが、慣れていない人が計算すると計算間違いがおこってしまいます。
計算間違いで提出された過払い金額を貸金業者が訂正しなければ、そのまま少ない金額で過払い金の支払いがおこなわれます。
過払い金の返還請求は1つの貸金業者につき1度しかおこなえませんので、後々気が付いたとしても後の祭りです。
また計算があっていたとしても、貸金業者との交渉がうまくいかないケースもあります。
貸金業者の中には素人の個人に対して、専門家からの依頼とは異なる対応をする会社もあるようですね。
このように個人で過払い金の返還請求をするのは、大きなリスクがあります。
過払い金の返還請求をするときには、専門家に依頼したほうがうまくいきますよ。
過払い金の返還請求をする前に気を付けること
ここまで過払い金の返還請求のリスクや、過払い金の返還請求をしても過払い金が返ってこないケースについて解説してきました。
過払い金の返還請求にはさまざまなリスクがありますが、それでも過払い金が返ってくるというメリットはとても大きいです。
リスクを考えたうえでもメリットがあると思えば過払い請求をしたほうがいいというのは事実。
そのうえでリスクを最小限にするための方法を、過払い請求をする前に気を付けることとして解説していきます。
実績のある弁護士・司法書士さんに相談する
先ほどから紹介しているように、個人で過払い請求をするのはリスクが大きいです。
そのため専門家である弁護士・司法書士に依頼して、過払い請求をしてもらったほうがうまくいくケースが多いです。
司法書士に関しては、訴訟額140万円まで対応可能です。それ以上の金額については弁護士の領域となります。
ただ残念なことに、悪質な弁護士・司法書士さんがいるのも事実。
そういった弁護士・司法書士さんに依頼しないためにも、弁護士・司法書士選びは実績重視でおこなうことをオススメします。
過払い金の返還請求に慣れている弁護士・司法書士さんであれば対応もスムーズですし、報酬も妥当なことが多いです。
しっかりと実績重視で弁護士・司法書士さんに依頼することが大切ですよ。
過払い金の返還請求がうまくいかなくても大丈夫な計画を立てておく
またこちらの記事で紹介したように、過払い金の返還請求は請求したからといって100%お金が返ってくるというわけではありません。
そのため過払い金の返還請求がうまくいかなくても、資金が大丈夫なような計画を立てておくことが大切です。
過払い金の返還請求のお金を当てにして計画を考えていると、返ってこなかったときかなり大変です。
先ほど紹介したように、過払い金の返還請求は1つの業者に対して1度しかできませんし、過払い金の返還請求をするとその会社からは今後借りられなくなる可能性が高いです。
そのため過払い金の返還請求のお金を当てにしていると、返ってこなかったときに支払いができないという事態も考えられますね。
過払い金の返還請求で返ってくるお金については、返ってきたらラッキーくらいの気軽な気持ちでいたほうがいいでしょう。
過払い金の返還請求はリスクも考慮したうえでおこなおう
ここまで過払い金の返還請求のリスクについて解説してきました。
過払い金の返還請求はお金が返ってくるので、とてもいいものですがリスクはしっかり考慮したうえで申し込むことが大切です。
まずは専門家の無料相談に依頼して、慎重に過払い金の返還請求手続きを進めていきましょう。