「障がい者アーティストには『納税者』になってもらいたい」─セイン・カミュ氏がパラリンアートにかける想いを紐解く

「障がい者アーティストには『納税者』になってもらいたい」─セイン・カミュ氏がパラリンアートにかける想いを紐解く
アコム

タレントとして活動中の、セイン・カミュさん。

消費者金融アコムの無人契約機「むじんくん」のCMでブレイクを果たしており、さまざまな番組・メディア等で目にする機会も多かったことでしょう。

そんなセイン・カミュさんは現在、 一般社団法人 障がい者自立推進機構にて理事も務める一面もあります。

今回はそんなセイン・カミュさんに、ブレイクのきっかけにもなったむじんくんCMのことも絡めつつ、現在のお取り組みについてもお話をうかがってみました。

アコムの無人契約機「むじんくん」CMについて当時思うこと

――セインさんとなると「むじんくん」CMのインパクトも大きいと思うのですが、CM放映について当時どんな印象をお持ちでしたか?

「正直”サラ金”のCMですから『大丈夫なのかな?』というのは最初ありましたね。でも『The サラ金』なCMじゃなくてポップな感じだったんです。当時の事務所もそれでOKを出したんだろうね」

――たしか当時は宇宙人の役でしたよね。

セインさんのお写真-笑顔

「そうそう。他にも2人外国人の方が演じていて、チャント星から来る『チャント星人』っていう役でした。しかもあの役って結構作りこまれているんです。一人ひとりストーリー・過去がちゃんと設定されていて、演じる側からしても入り込みやすかったです」

セインさんの現在が取り組んでいるのは…

――セインさんって直近ですと、今はどんな取り組みをされているんですか?

パラリンアートのビジネスモデル

「『パラリンアート』といって、障がい者アーティストのアート作品を、アート利用していただく活動を民間で展開しています。たとえば障がい者アーティストの方がパラリンアートに登録して法人・個人様にその絵を飾ってもらったりしてもらって、そこから利用者→パラリンアート運営とアーティストの方にアート利用報酬が入るビジネスモデルなんです。今は700名を超える方がパラリンアートに登録していますよ」

アート作品

障がい者アーティストによるアート作品の一部

――そうした障がい者アーティストの方には、どうなってもらいたいとお考えですか?

「僕らとしては”納税者”になってもらいたいと思っています。障がい者の方がいるご家族って、『自分がいなくなったらこの子を誰が面倒を見るんだろう…』と思われる方も多いんです。そこでパラリンアートの事業があると、何か少しでも助けになるかなと。もしアートで開花できれば、自立だってしやすくなりますからね」

――どんなキッカケでパラリンアートに参画されたんですか?

「きっかけになったのはウチの妹の絵なんです。パラリンアートの代表理事の松永さんが、平塚にあるアートを手掛ける障がい者の集まる施設に訪れて、そこで保管されている2,000点の絵があって、4枚ほど買ってみたらそのうち3枚がウチの妹の絵だったんです」

――まるで巡りあわせですね…!

「そうですね。巡り合うべくして合ったものかな。それからは松永さんと仲良くなって、『僕にできることってないですかね?』って聞いたら、松永さんが『じゃあウチの理事になってよ!』って言ってくれて、そこからパラリンアートに参画しました」

セインさんとパラリンアートのこれから

セインさんのお写真-手のひら

――パラリンアートのお取り組みにおける理想像ってありますか?

「僕が思うのは、障がい者に対して当たり前のように接していけるよう、柔軟な認識を持ってもらえることですかね。少しでも障がいに関する知識があれば、冷静になって認識できると思うんです」

――パラリンアートでこれから挑戦したいことってありますか?

「今はブロックチェーンを通じてトークンとか、NFTとかに力を入れて挑戦しています。今まで以上に、アート作品に手が届きやすくなると思います」

――今後、パラリンアートをどうしていきたいですか?

「何かテーマを決めて、国際的な規模で障がい者のアートを集めたイベントに取り組んでみたいですね。今は日本国内でとどまっているところですけども、国境をこえて世界にパラリンアートの存在を広めて、僕らの理想をみんなに賛同していただきたいなと」

――今はパラリンアートについて、どんなミッションをお持ちですか?

「原点に戻るとやっぱり『みんなにアートを見てもらいたい・知ってもらいたい』というところかな。アートは複雑な言葉なしに、見て感じることで成立するもの。そうやって感じてもらえればいろんな可能性が広がるしね」

セイン・カミュ

1970年アメリカ・ニューヨーク州出身。6歳で来日し、日本で少年期を過ごす。横浜のインターナショナルスクールに通ったのち、ニューヨーク州のホフストラ大学に入学。1991年に再来日し、モデルやエキストラとしての活動後にテレビ番組に多数出演。以降はタレントとしての活動を展開している。また2015年からは「Mr Coconut」の名でYouTuberとしても活動中。